君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
タクシーが通るまで走る。


橘さんの言う通りよ。

私らしくない。

ずっと東野さんと一緒に仕事がしたくて、頑張ってきて...。
一緒に仕事してからも、頑張ってきて...。

想いが通じ合えたからって、そこがゴールじゃないのに。


ちょうどタクシーが通り、乗り込みレイクホテルへと急ぐ。


ーーーーーーー

ーーーー


「ありがとうございました」


お金を払い、タクシーを降りホテルの中へと入る。


レストランは...。
案内板を見ると、最上階。

エレベーターに乗り、最上階のボタンを押す。


...緊張してきちゃった。
着くまではただ、気持ちが優先して来ちゃったけど、着いてこうやって冷静になってみると、私って大胆なことをしているわよね。

...でも、やっぱりこんなモヤモヤした気持ちのまま過ごすより、ちゃんと東野さんの口から気持ちを聞きたい。


そして安心したい...。


「よし!」

理由はどうにか適当に言えばいいわよね。


ちょうどエレベーターは最上階へと到着し、ドアが開く。

夜景を見ながら、レストランへと向かうが入り口には《close》の看板が立てられていた。


「うそぉー...」


ってことは、もうここには東野さん達はいないってことよね。

思わず身体の力が抜ける。


なにやってんのよ、私ってば。
空回りじゃない。


「帰ろう...」


来た道を戻り、エレベーターに乗る。


副社長も一緒だし、これから二人で飲みにでもー...なんて話には、ならないわよね?


鞄の中から、この間貰った合鍵を取り出す。


「今から行ったら迷惑かな」


東野さんは好きな時に来てもいいって言っていた。

でも、今日はまずいかな?

そっ、それよりもまさか東野さんの家に大貫さんがいたりしないわよね?



不安ばかりが募る。


東野さんは何も話してくれなくて、だけど東野さんの過去を知ってしまって...。


「やっぱり行ってみよう」


数ヵ月しかまだ経ってないけど、た
った数ヵ月間の間に、東野さんと色々な話をして、時間を共有してきた。

その中で確かなものは沢山あったわよね?

あの時の言葉や仕草、普段見られない東野さんの姿。

あれは私にだけのものだったわよね?


ホテルを出て、タクシーを探すがやはりなかなかまた通らない。


気持ちだけが先走ってしまう。

早く東野さんに会いたいのに...。


そうだ!!

終わったならもう電話しても大丈夫よね。

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