君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
どうして話してくれないの?
「悪かった...」
不安だから話して欲しいのに。
謝って欲しいわけじゃないのに...。
そっと私を離し、私を見つめる東野さんはいつもと同じ。
私の大好きな東野さんなのに...。
「...私の方こそごめんなさい。でも、安心しました」
こう言うしかないじゃない。
「送っていくよ、車で来てるから」
そう言って歩き出した東野さんを、慌てて呼び止めた。
「東野さん、大丈夫です!あの、一緒にいた友達がここまで送ってきてくれて、まだ近くにいるので...」
「でも...」
「久し振りに会った友達で、まだ話足りないので。...だから大丈夫です。東野さんもお疲れになったと思いますので、ゆっくり休んで下さい」
私、今ちゃんと笑えてるわよね?
「...分かった。また明日な」
「はい、お疲れ様でした」
軽く頭を下げて、すぐにこの場を後にした。
いつもの私だったら、ずっと東野さんを見送っていたけど、今の私には無理。
いつもより早く歩いて、だいぶ歩いた時、立ち止まり振り返ると、もう東野さんの姿は見えなかった。
一気に気が緩み涙が溢れる。
「どうしてっ...」
どうして話してくれないのだろう。
東野さんにとっては、大貫さんはまだ過去の存在になってないの?
東野さんにとって私は勝手に《特別な存在》だと思っていたのに、違ったのかな?
あんなに幸せな気持ちで溢れていたのに、今は悲しい気持ちが沢山溢れてしまっていた。
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彼の中にある過去に勝つにはどうしたらいいですか?