君が好き。～完璧で女嫌いなカレとの恋～

恋愛と、仕事と、気持ちと...

「ふ～ん...。それであなたは逃げるように嘘ついて帰ってきてしまったってわけね」


「うん...」


あれから、途方もなくフラフラと歩いていた時、橘さんからメールが入ってきて、思わず泣きながら電話をしてしまった。


「うん、じゃないわよ。なんで言わなかったの？私は全て知ってるのよって」


「亜希子！...そんなの人それぞれだろ？それに、俺は櫻田の判断は合ってたと思うぜ？東野が言わない以上、櫻田はどうすることも出来ないし」


橘さんと藤原係長はずっと飲んでたみたいで、そのまま私も舞い戻ってきた。


「そうかもしれないけどっ...」


「東野には東野なりの考えがあって、気持ちがあるわけだろ？...櫻田、きっと東野もまだ気持ちの整理がついてないだけだと思うぜ。だってそうだろ？急に現れたんだから。東野は櫻田に余計な心配や不安を与えたくなかったから、言わなかっただけなんじゃないか？」


「藤原係長...」


確かにそうかもしれない。
何年も会わずにいた人が急に目の前に現れたんだから。


「でも私は、話して欲しかったんです。...まだ数ヵ月しか一緒にいないけど、私は東野さんにとって特別な存在になれたんだなって思ってました。...確かに藤原係長の言う通りかもしれません。私のためを思って東野さんは言わなかっただけかもしれないけど、私は凄く悲しいです...」


「櫻田...」


それに、疑わずにはいられない。
もしかしたら大貫さんはまだ、東野さんのことを想っているんじゃないかって。そうしたら、私はー...。


「よし！櫻田さん今夜はとことん飲みましょう！私と藤原さんが付き合うわ！」


私の隣に座り、ビールをすすめる橘さん。


「こういう時は飲むに限るわよ！藤原さん！もっと注文して」


「はいはい」


そんな二人のやりとりに笑いつつも、差し出されたビールを一気に流し込む。


「美味しい！！」


「もっと飲んで飲んで！」