君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
藤原係長に再度一礼し、慌てて営業部を後にする。

秘書課に戻り、雑務を済ませ更衣室へと急ぐ。


そしてすぐにケータイを取り出し、メール作成画面を呼び出す。


...家に行っててもいいかな?

ゆっくり東野さんと過ごしたいし、話したいし...。


「よし!!」


行っちゃおう!だって合鍵も貰ったし、いつでも来ていいって言ってたし。うん、行こう!


メールを送り、急いで着替えを済ませた。


ーーーーーーー

ーーーーー


「お邪魔しまーす...」


そっと鍵を開けて、真っ暗な部屋の中を覗き込む。

当たり前だけど、誰もいない室内はとても静かだった。


玄関の灯りをつけて、室内へと入る。


ケータイを見るが、東野さんからのメールの返事はなかった。


「東野さん、まだ仕事終わってないのかな?」


もしかしてメールに気付いてないのかな?


...とにかくご飯作ろう!この前、美味しいって言ってくれたし。

そのうちメールに気付いて、すぐに帰ってきてくれるよね?

そう思い、料理に取りかかった。


ーーーーーー

ーーー


「出来た!」


いつ帰ってくるか分からなかったから、今日は簡単なカレーライスとサラダにしてしまったけど、大丈夫だったかな?


もう一度ケータイを確認するが、東野さんからの返事はなかった。


電話した方がいいかな?...でも、まだ仕事中だったら迷惑だろうし...。


リビングへと行き、ソファーに腰をおろす。


「高そうなソファー...」


ふかふかで、うちにあるソファーとは大違い。


まだ数える程しか東野さん家に来たことないけど、本当にキレイな部屋。


つい辺りを見回してしまう。

そしてやっぱり前置いてあった同じ場所に、お見合い写真が重ねられていた。


おもむろにその場所へと足が向かってしまう。


もう一度見たくなってしまった。

東野さんと大貫さんの写真を...。

手を伸ばしたが、写真にまで手が届かない。


「何やってるんだろう、私ってば...」


何度見たって変わらない。東野さんと大貫さんが付き合ってた過去は変わらないのに...。


立ち上がり、テレビでも見て待ってようと思った時、来客を知らせる音が部屋中に響き渡る。


インターホンを見てみると、東野さんだった。




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