君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
帰ってきた!
つい口元が緩みながらも、急いで玄関へと行き、ドアを開ける。


急にドアを開けたからか、東野さんは驚いていた。


「ごっ、ごめんなさい!...おかえりなさい。すみません、お邪魔してました」


嬉しい気持ちと、恥ずかしい気持ちが入り交じる。


「ただいま。悪かった、メールに気づいたの今さっきで」


「いいえ!私の方こそいきなり来てしまったから.. 」


「いい匂いがする。カレー?」


家に入り、スーツを脱ぎながら歩く東野さんの後ろ姿に、思わず見惚れてしまった。


「菜々子、どうした?」


「あっ、すみません!はい、今日はカレーを作ってみましたが、嫌いではないですか?」


慌ててキッチンへと向かい聞くと、東野さんは笑顔を向けてくれた。


「嫌いじゃないよ。着替えてきていいかな?」


「はい!用意しておきますね」


「あぁ」


寝室のドアが閉まると同時に、思わず溜め息が漏れてしまった。


よかった。いつも通りに話せて。
怒っていたらどうしようって思ってたけど、本当によかった。


ーーーーーーーー

ーーーーー


「ごちそうさまでした」


あの後、東野さんと何気ない話をしながら食事をした。


「カレーなんて久し振りに食べたけど、やっぱ旨いな」


「えっ...そうなんですか?」


調味料とか調理器具が揃っているから、てっきり東野さん自炊してると思っていたけど、違ったのかな?


「あぁ。料理はするけど、なんせ独り暮らしだからな。一度カレーなんて作っちまったら、しばらくカレーを食べるようだろ?」


「確かに...」


思わず笑ってしまった。


「だけど、二人だといいな。そんなに余らなくて。それに作ってもらうと余計に美味しい」


「東野さん...」


あまりに優しい笑顔で私を見つめるものだから、恥ずかしくなってしまった。


「片付けて、ゆっくりしようか」


お皿を持って立ち上がる東野さん。


「東野さん!私片付けます」


慌てて自分の使ったお皿を持ち、東野さんの後を追ってキッチンへと向かう。


「じゃあ一緒に片付けようか。俺が洗うから菜々子は拭いて、閉まってもらってもいい?」


「勿論です!」

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