君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「あっ、ありがとう、ございます...」


そしてどうもすみません。こんな女で。


差し出された服をそっと受け取る。


「食事用意したから、一緒に食べよう。着替えてからな」


「はい...」


東野さんが部屋から出て行った後、力が抜けたようにベッドに横たわる。


「恥ずかしすぎる...」


下着からなにまで全部洗濯してもらった挙げ句、アイロンまでかけてもらって、さらに朝御飯まで作らせるなんて...。


「とっ、とにかく着替えなくちゃ!」


せめて朝御飯の準備くらいは手伝おう!!
そう思って急いで着替えて行ったというのに...


「もう着替え終わったのか?早かったな」


リビングへと行くと、東野さんは優雅に新聞を読みながら、自分で淹れたコーヒーを飲んでいた。部屋中に、コーヒーの良い薫りが広がっており、朝を感じさせられる。


「菜々子も飲むか?」


「はい!」


って!何を呑気に返事なんてしちゃってるのよ、私ってば!!


「はい、ブラックで大丈夫か?」


「大丈夫です。...それよりすみません。何から何までやって頂いて」


「えっ?」


だってそうでしょ?


「私、女なのに全然ダメじゃないですか」


普通は逆でしょ?


「...なんだ、そんなこと気にしてたのか?」


そう言うと東野さんは、なぜか手招きして私を呼ぶ。


マグカップ片手に東野さんが座るソファーへと近付くと、今度は隣に座るよう指示する東野さん。

言われるまま隣に座ると、肩に腕が回され、グッと距離が縮まる。


「分かるだろ?俺の部屋を見ていれば。...こういう性格なんだ、気にするな。それに俺は、ちょっとだらしない菜々子も好きだよ」


「だっ、たらしないって!」


酷い!!...まぁ、反論は正直出来ないけど。


「アハハ!でも本当のことだろ?まぁ、だらしないっていうか、大雑把っていうか...。仕事ぶり見てても分かるよ、何となくな」


「そうなんですか!?」


ちょっとショック。仕事だけは真面目に手を抜かずに頑張ってきたつもりだったのに...。
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