君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
なにか違う気がする。私が求めていたのは。だけど...。


「分かり、ました。これ私貰います」


やっぱり東野さんにこの写真をずっと持っててもらいたくないっていう気持ちもある。


「ありがとう。...そろそろ朝御飯食べようか。遅刻する」


「あっ、はい!」


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「...昨日と同じ服」


「なっ、何!?会うなり急に...!」


あの後、ご飯を済ませ途中まで東野さんに送ってもらい出社した。いつものように更衣室へと行くと、やっぱり橘さんがいたわけで...。


「朝帰りね。別にいいけどちゃんと着替えくらい東野さんの家に置いておきなさいよね」


返す言葉が見つからない。


「で?どうだったの?まぁ、朝帰りしたってことは、聞くまでないかもしれないけど」


「うん...。東野さん、ちゃんと話してくれたわ。過去のこと」


「...その割には、すっきりしていない顔ね」


着替えを済ませ、いつものように鏡の前でチェックをする橘さん。


「何があったのよ。話しちゃいなさいよ。いつもみたいに」


「うん...。実はー...」


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「別に悩むところなんてないじゃない。むしろ東野さん素敵じゃない。過去を彼女に棄てさせるなんて。意外にロマンチストなのね」


ちょうどエレベーターが辿り着き、乗り込む。


「そうかもしれないけど...。本当に棄てていいのかなって思いが私の中にはあるのよ」


「えぇー!?何よそれ。全然意味が分からないわ。それじゃ何?櫻田さんは、東野さんにいつまでも大貫さんとの思い出を、大切に大切に持ちながら一緒にいて欲しいわけ?」


「そんなわけじゃないけど!...うまく言えないんだけど、東野さんがね、無理矢理忘れようとしているっていうか...過去をなかったことにしているように見えて」


「そんなの当たり前な感情じゃない?」


ちょうどエレベーターは着き、スタスタと足早に歩き出した橘さんの後を、慌てて追い掛ける。


「誰にだって消したい過去はあるはずよ。東野さんは、その過去が大貫さんとの思い出だったってことでしょ?別に櫻田さんがそんなに悩むことじゃないと思うわ」


「うー...ん」


秘書課につき、先に出社していた同僚に挨拶しながら、ボードの前へと足を進める。


「そんなことで悩むより、まずは目の前の現実に悩んだ方がよろしくて?」









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