君が好き。～完璧で女嫌いなカレとの恋～

ドキドキしながらメールを見る。

滅多にメールなんてしないから、余計に緊張する。


《今帰った。もう寝たか？》


短くて、絵文字一つないメールに目が釘付けになる。


「...東野さんらしいメール」


そのままベッドに横になり、返信する。


「お疲れ様です。今から寝るところでした、と」


ついつい口に出しながらメール文を作成し、送信する。


こんな風に何気ないことでメールくれるなんて、今まで一度もなかったから嬉しいな。


なんて返ってくるのかな？

そんなことを考えながら横たわっていると、急に襲ってくる睡魔。


ヤバい、眠くなってきちゃった。


「ダメダメ！東野さんから返事が返ってくるかもだし！」


頑張って目を開くものの、急激な睡魔に勝つことは出来ず、私はそのまま眠りへと落ちていった。


ーーーーーー

ーーー


「おはようございます」


昨日、いつの間にか寝てしまったせいで、アラームを設定するのを忘れてしまい、寝坊してしまった。


それに東野さんからメールがきていたというのに...！
しかも内容が『電話してもいいか』だったっていうのに！


どうにか出社には間に合い、息を整えて、いつものようにみんなに挨拶をしながら、奥へと進む。

あっ...いた。

いつものように忙しそうに仕事をこなす東野さんの姿があったけど、なぜか大貫さんの姿はなかった。

あれ？確か今日も大貫さんの名前もあったはずなんだけどな...。

不思議に思いながらも、東野さんの元へと行く。


「おはようございます」


「おはよう。櫻田、連絡事項」


「はい！」


いつもの東野さんだ。

...昨日のこと、怒ってないかな？

そんなこと考えながらも、急いでスケジュール帳を取り出す。


「大貫さん、今日までだから。だから藤原につくのは今日までで、明日からまた通常業務に戻ってくれ」


「...はい」


そっか。今日までか...。
ちょっと安心しちゃった。


「あっ、櫻田さんおはようございます！」


大貫さんだ！


「おはようございます」


突然現れた大貫さんに一瞬ドキッとしながらも、挨拶を返す。


「聞いたかな？私、今日までなんだ。...少しの間だけだったけど、ありがとうございました」


「いいえ！そんな...」


深々と頭を下げる大貫さんに、どうしたらいいか分からなくなってしまった。


「それにごめんなさい。私のワガママで一番迷惑かけたのは、櫻田さんだし...」