君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「大貫さん...」


「だけど、お陰さまで凄く勉強になったわ。...私達が作った作品を、どんな風に営業してくれているか分かったしね」


そう言って笑う大貫さんの笑顔は本当に素敵で、私より五歳も年上だなんて思えないくらい、可愛らしい笑顔だった。



「や~っと分かったか!俺達の苦労が」


「剛!」


「まっ、俺達営業が頑張れるのは作り手のおかげだけどな。...これからも頑張れよ」


そう言って大貫さんの肩を叩く藤原係長。


「剛に言われなくても頑張るに決まってるでしょ」


仕返しとばかりに、藤原係長の胸元をパンチする大貫さん。


「いって!バカ奈津美!お前のパンチは昔から冗談抜きでいてぇんだよ!」


「なによ~失礼ね!」


二人のやりとりに、つい笑ってしまった。


二人は昔からこんな感じだったのかな?

そう思いながら東野さんへと視線を向ける。


...私から笑顔は消えてしまった。


東野さんは私の視線なんて全く気づいていなくて、ただ一点を見つめたまま笑っていたから...。


「もう剛には付き合ってられないわ!圭吾!早く出よう」


大貫さんの声に東野さんはハッとしたように、表情を引き締める。


「あっ、あぁ。そうだな」


何事もなかったように出掛ける準備をする東野さんから、私は視線を反らせずにいた。


東野さん...さっきのは、私の見間違いですか?


「それじゃ行ってくる」


「はいよ、気を付けてね」


東野さんの後に続いて大貫さんは、私達に手を振りながら出掛けて行った。


「さてと、櫻田、俺達もさっさと仕事するぞ」


「はい...」


言われるまま仕事に取り掛かるが、どうしてもさっきの東野さんの顔が頭から離れずにいた


嫌な考えしか思い浮かばない


どうか私の勘違いだってことを祈りながら仕事をこなした


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「...うん、大丈夫!お疲れさん。三日間、櫻田に手伝ってもらえて凄く助かったよ」


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