君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
ずっと待っているのも暇だし。そう思い、会計を済ませ小雨の中、駆け足で会社へと戻る。


エントランスを抜けて社内に入る頃には、だいぶ雨にやられていた。


「けっこう濡れちゃったな」


ハンカチで拭きながらも、更衣室へと急ぐ。

定時を過ぎた今、ほとんどの社員は退社しており、社内は静まり返っていて、私の足音だけが異様に響き渡る。


「...人がいない社内って何度歩いても不気味ね」


早く傘を取ってさっきのコーヒーショップへ戻ろう。


足早に向かい、ロッカーから傘を取り、来た道を戻る。


もう一度ケータイを見るが、いまだに翔ちゃんからの連絡はなかった。


「遅くまでやってる不動産だって言ってたけど...大丈夫なのかな?」


そんなことを呟きながらも歩いていると、聞き慣れた声が聞こえてきた。


「...この声って」

思わず声がした方へと足を進める。


そこは一階にある休憩室で、灯りが見えた。


そして聞こえてきたのはやっぱり東野さんの声と...。


そして、大貫さんの声だった。

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