君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「私を好きにさせてみせるよ。私が人を好きになるって感情を教えてあげる。...だから圭吾、私と付き合って?」


「えっ...」


今まで何度も女に告白されてきたし、言い寄られてきた。


だけどこんなにも真っ直ぐな瞳で見つめられて告白されたのは、初めてだった。


「騙されたと思って付き合ってみてよ。ダメだったら、ちゃんとまた友達に戻るから...」


そんな奈津美の言葉に思わず笑ってしまった。


「ちょっと圭吾!笑うところじゃないでしょ!?私は真剣に話してるって言うのにっ」


「悪い悪い、でも笑うだろ?普通。なかなかいないぜ?そんな告白してくる女」


「べっ、別にいいでしょ!これが私なんだから!!...それにこれ以上、圭吾に悲しい思いなんてさせたくなかったし」


奈津美...。


不思議な女だった。

姿は幼くて、高校生にしか見えないのに、時折見せる妙に大人びた姿や言葉に驚かされる。


「...じゃあ、教えてもらおうかな、奈津美に」


「えっ?」


「俺がまだ知らない好きって感情を...」


ただの興味本意だった。
ダメだったらまた友達に戻るって言っていたし。


だけど、いつの間にかそんな感情はなくなり、友達に戻れなくなっていたのは俺の方だった。

奈津美と一緒にいると、自然と笑えて毎日が楽しくて...。

逆に奈津美が元気なかったりすると、気になって仕方なかった。そして初めて守ってやりたいって思った。

これが好きって感情なんだって気付いてからは、今までの俺の人生がバカらしくさえ思えた。奈津美が好きで、ずっと傍にいたくて...。


色々あったけど、奈津美となら何があってもこれから先の人生も、ずっと一緒にいられると思っていた。

まぁ、そう思っていたのは俺だけだったみたいだけどな。


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「...もう、10年も経っちまったんだな」


秋深まり、冬間近なこの頃。
彼女は突然俺の前に現れた。




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