君が好き。～完璧で女嫌いなカレとの恋～

ビックリしたって...。なんで今更そんなことを言い出すんだ？



「...そりゃ驚くに決まってるだろ？本当に急に現れたんだから」


当たり障りない言葉を選ぶ。


「えぇ～本当に驚いたの！？全然そんな風に見えなかったのに！...そっかぁ～驚いたんだぁ」


なぜか機嫌良さそうに隣でコーヒーを飲む奈津美。


「...ねぇ圭吾、覚えてる？昔さ、私が圭吾の誕生日の日にサプライズしたの」


サプライズ...。


「あれか？バレバレのサプライズ」


「それは言わないの！」


そういえばそんなこともあったな。奈津美は俺には内緒でこそこそと準備をしてたつもりだったみたいだけど、俺にはバレバレで。
...だけど、あれは素直に嬉しかったな。



「私、昔からサプライズとか人が驚いたり、喜んだりされるのが好きでさ」


確かに。藤原や優の誕生日の時も『サプライズやろう！』って一人張り切っていたな。


段々と昔の思い出が蘇ってくる。


「...だからね、今回の圭吾との再会にも、ビックサプライズを予定してたんだよ」


「えっ...」


ビックサプライズ？


「それなのにさぁ～、圭吾ってば断っちゃうんだもん。計画が台無しだったよ」


...それって、まさか...。

奈津美は立ち上がり、飲み干した空き缶をゴミ箱へと捨てる。


思わず俺も立ち上がってしまった。


「...普通断る？上司からの縁談話を！」


「......」


副社長が持ってきたお見合い相手って奈津美だったのか。


驚きのあまり言葉が出なかった。


「しかも最初は受けるって言ってたのに、直前になってキャンセルでしょ？取引先相手に失礼じゃない？まぁ、優から圭吾の女嫌い聞いてたし、きっと写真も見てないんだろうなって思ってたけど、昨日、圭吾の机の上にお見合い写真が置いたままだったのには、さすがにびっくりしたけどね」


そうだった...。破棄しようと思っててつい、置いたのまま忘れていたんだった。