君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「私ね、この10年間頑張ったんだ!すっごく、すっごく頑張った」


俺に背を向ける奈津美。


「お見合いは断られたけど、今度はビジネスパートナーとして現れて驚かせてやろう!って思ってたの。...まぁ、圭吾は驚いてくれたから、してやったりだったけどね!」


肩が小刻みに震えている。...まさか泣いてるのか?


「...最初の計画とはちょっと違っちゃったけど、やっと圭吾に会えた!...夢を叶えられた!って思った」


「奈津美...?」


「なのに!...なのに圭吾は変わっちゃってた」


ちょっと待ってくれ。話の意味が分からない。奈津美はさっきから何を言ってるんだ?


「約束したじゃない...。学生の時、私はインテリアデザイナーになって、沢山の作品を世に送り出す。そして圭吾は私の作品を売り込んでくれるって...」


そう言って振り返った奈津美の瞳からは、大粒の涙が溢れていた。


「私、そのために海外に行ったんだよ?...これからもずっと圭吾と一緒にいるために..」


...何、言ってるんだ?


「ちょっと待てよ。さっきからなに言ってんだよ、勝手にいなくなったのは、奈津美の方だろ?」




「そうだけど!...そうだけど、あの時はあぁするしかなかったのよ」


えっ...どういう意味だ?


「...私の両親は昔から厳しい人だった。なかなか子供に恵まれなくて、やっと産まれたのが私。...昔から凄かったんだ、英才教育?とにかく厳しかった。そんな両親は私がインテリアデザイナーになりたいって言ったら、もう大反対だった。...毎日毎日喧嘩してた」


...知らなかった。そんなこと。


「...なんでその時、言ってくれなかった?」


「言えるわけないじゃない。圭吾も就職活動で忙しくて、二人で夢を叶えるために頑張ろうって話していたのに...」


なん、だよそれ...。


「両親に言われたの。本気でインテリアデザイナーになりたいなら、本場の海外で勉強するか、それが出来ないなら両親の顔が利く会社に入ってそれなりに働いたら結婚しなさいって」


奈津美の話に握りしめた手に力が入る。

「勿論私は前者を選んだわ。小さい頃からの夢だったんだもの。絶対叶える。そう決めた」






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