君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「そう、かもしれないけど...」


「だったら、ちゃんと東野さんに聞けよ。..それじゃ菜々子、ただ逃げてるだけだぞ」


逃げてる?


「ちゃんと向き合えよ。向き合って考えて悩ん、で自分がどうしたいか答えを出せ。..いつもの菜々子だったら、そうしているんじゃないか?」


「いつもの私...?」


「そう。頑張り屋で努力家で。納得いくまでやって。そんないつもの菜々子はどうした!これからが、菜々子の頑張りどころだろ?」


「いたっ!」


デコピンされ、痛む額を押さえる。


「翔ちゃん、痛い!」


「当たり前だろ?気合いを入れてやったんだから」


翔ちゃん...。


「それにしたって痛かったよ」


前髪で顔を隠す。なぜか翔ちゃんの顔が直視出来ない。

誤魔化すようにビールを飲む。
チラッと横を見れば、私の視線に気付いて、翔ちゃんは笑ってくれて...。

安心する。翔ちゃんと一緒にいると、とても安心できる。
うん...。ちゃんと考えてみよう。東野さんと話をして。自分がどうしたいか考えてみよう。

幸せになれるように...。


ーーーーーーーー

ーーーーー

「...ん?」


トイレに行きたくなり、開きたくない目を開く。

あれ?・・自分の部屋じゃない?

起き上がり、周りを見回す。


「...あっ!!」


そうだった!私、昨日翔ちゃんと一緒にー...。

隣を見るが、翔ちゃんの姿はない。

あっ...まだ寝てる。

部屋の中を見ると、ソファーの上でまるで猫のように身体を小さく丸めて眠っていた。


起こさないようにそっと近付く。


「...ごめんね」


付き合わせた上に、ソファーで寝かせるはめになっちゃって。でも...。



「...ありがとう」


話を聞いてくれて。助けてくれて。私はいつも翔ちゃんに助けてもらってばかりだね。


「んー...」


やばっ!


急に寝返りをうつものだから、起きたのかと思い、慌てて翔ちゃんから離れた。





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