君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
だけど、ただ寝返りを打っただけみたいで、規則正しい寝息が聞こえてきた。


時計を見ると、始発まであと二時間くらい。

私もあと少しだけ寝ようかな。


静かにトイレに行き、ベッドに潜り込む。

気持ち良さそうに眠る翔ちゃんをつい見つめてしまう。


翔ちゃん...。
こんな私にいつも優しくしてくれてありがとう。本当にもう、今回だけにするからね。もう、翔ちゃんに迷惑かけないようにするから...。


ーーーーーーー

ーーーー


「菜々子起きろ!!ヤバイぞ!」


「えっー...」


「寝惚けてる場合じゃない!」


次の瞬間、布団を一気に取られる。


「始発出るぞ!一度家に帰らないとまずいだろ!?」


「...始発っ!?」


飛び起きて時計を見ると、一気に目が覚めた。


「ヤバイじゃない!」


「あぁ、ヤバイよ!早く着替えて出るぞ!」


「うん!!」


ーーーーーー

ーーー


「おーい、なんで二人して朝帰りなんだよ」


「ごめん桜子!後で話すから」


どうにかギリギリ始発に間に合い帰宅すると、つい連絡し忘れて一人で夜を過ごし、ご不満の桜子が待ち構えていた。


「えっ...まさか二人でどっか泊まったのか?おい、翔太!答えろよ!」


「今はそれどころじゃないだろ!?後でにしてくれ」


「...なんだよ、除け者にしやがって!バカ翔太!バカ菜々子!!」


「あっ、ちょっと桜子!?」


よっぽど面白くなかったのか、桜子は荷物片手に出て行ってしまった。


「もう、ちゃんと後で話すからって言ったのに...」


だけど、悪かったかな。連絡なしだったし、心配してくれてたのかもしれない。


「桜子なら大丈夫だろ。帰りに酒一本買ってきて話せば、すぐ機嫌も直るよ」


「うん...」


「それより菜々子、本当に急がないと遅刻するぞ」



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