君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~

「そうだった!」

翔ちゃんの言葉にまた現実に引き戻され、急いで行く準備をした。


ーーーーーー

ーーーー


「送ってくれてありがとう」


シートベルトを外す。


「本当に会社まで送って行かなくてもいいのか?」


「うん!まだ全然間に合う時間だし!」


それにまた会社の人に見られたら、色々とまずいし。


「じゃ気をつけてな」


「うん、本当にありがとうね。...その、色々と本当に...」


昨日のことも含めて。


「どういたしまして。ほら、早く行かないと電車乗り遅れるぞ」


「うん!」


車から降り、ドアを閉めると翔ちゃんの車はすぐに走り出し、見えなくなっていった。


「私も早く行かないと!」


沢山泣いて、沢山話を聞いてもらえて。驚くほど気持ちがすっきりしてた。


いつもの電車に乗って、満員電車に苦労して。いつもと同じ時間、会社の最寄り駅についた。


そうだ。昨日、雨の中ケータイ握っていたから壊れちゃったんだっけ。今日買いに行かないと...。

そんなことを考えながら人並みに流れて歩いていると


「櫻田さん!」


私を呼ぶ声に足が止まる。


この声って...。


ゆっくりと声のした方へと振り返ると、そこには大きなスーツケースを抱えた大貫さんの姿があった。


「よかった!会えて」


大きなスーツケースを引きながら、こっちへと駆け寄ってきた。


突然のことに言葉が出ない。


「ごめんなさい、どうしても櫻田さんに話したいことがあって...」


もしかして昨日、あの場に私がいたって気付かれてた?
それとも、宣戦布告される?

一気に緊張感が増す 。
< 357 / 411 >

この作品をシェア

pagetop