君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「そうだった!」
翔ちゃんの言葉にまた現実に引き戻され、急いで行く準備をした。
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「送ってくれてありがとう」
シートベルトを外す。
「本当に会社まで送って行かなくてもいいのか?」
「うん!まだ全然間に合う時間だし!」
それにまた会社の人に見られたら、色々とまずいし。
「じゃ気をつけてな」
「うん、本当にありがとうね。...その、色々と本当に...」
昨日のことも含めて。
「どういたしまして。ほら、早く行かないと電車乗り遅れるぞ」
「うん!」
車から降り、ドアを閉めると翔ちゃんの車はすぐに走り出し、見えなくなっていった。
「私も早く行かないと!」
沢山泣いて、沢山話を聞いてもらえて。驚くほど気持ちがすっきりしてた。
いつもの電車に乗って、満員電車に苦労して。いつもと同じ時間、会社の最寄り駅についた。
そうだ。昨日、雨の中ケータイ握っていたから壊れちゃったんだっけ。今日買いに行かないと...。
そんなことを考えながら人並みに流れて歩いていると
「櫻田さん!」
私を呼ぶ声に足が止まる。
この声って...。
ゆっくりと声のした方へと振り返ると、そこには大きなスーツケースを抱えた大貫さんの姿があった。
「よかった!会えて」
大きなスーツケースを引きながら、こっちへと駆け寄ってきた。
突然のことに言葉が出ない。
「ごめんなさい、どうしても櫻田さんに話したいことがあって...」
もしかして昨日、あの場に私がいたって気付かれてた?
それとも、宣戦布告される?
一気に緊張感が増す 。