君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
自分の席に戻ると、封筒を手に戻ってきた。


「これ頼む。受付に行けば、取りに来てくれるよう話しておいたから」


「了解です」


封筒を受け取り、鞄にしまう。


「それと、東野からの伝言。戻りながら休憩入っていいって」


「えっ...」


東野さんを見るが、ちょうど電話中だった。


「いつも頑張っている櫻田へのご褒美なんじゃねぇの?ニーナの近くに美味しい店沢山あるから、たまにはゆっくりしたら?」


「藤原係長...」


「じゃ、よろしく!」


なんだか、なぁ...。
ちょっとしたことだけど、そんな気遣いが嬉しい。


荷物をまとめる。


東野さんに声掛けて行こうと思ったけど、まだ電話中。目が合い、軽く頭を下げて営業部を後にした。


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ーーーー


「...はい、確かにお預かりしました。ありがとうございました」


「よろしくお願いします」


封筒を預け、肩の荷がおりる。


初めて来た会社だけど、受付の対応もいいし、社内も綺麗。

ニーナを後にして、近くを見回す。藤原係長の言ってたように、飲食店が立ち並んでいた。


「...さすがにお一人様ランチは無理かなぁ」


今の時代、女一人でランチなんてよく聴く話だけど...。
私には無理だったりする。どうも一人でいると、周りからの視線を感じそうで怖いんだよね。


「どこかでテイクアウトして外で食べようかな」


今日は天気も良くて、暖かい。それに確か駅前に小さな公園があったはず。


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ーーーーー


「...美味しい!」


あの後、近くのパン屋に入り、買い物して駅前の公園へとやってきた。緑が多くて小さな噴水があり、お昼を食べるには充分すぎる場所だった。


たまには、いいな。こうやってゆっくりと外でご飯食べるのも。

まだお昼にはちょっと早い時間。人もまだらで過ごしやすい。


「...あれ?もしかして菜々子ちゃん?」


「えっ?」


名前を呼ばれ声のした方を見ると、見覚えのある顔。


「えっと...相田さん?」





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