君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「やっぱり菜々子ちゃんだっ!」


やっぱり見覚えのある顔は相田さんで...。


「わぁっ!あっ、相田さん!コーヒーが溢れます!」


そしてやっぱりいきなり抱きつかれた。


「もう!相変わらず可愛いんだから!」


どうにかコーヒーは溢れずにすみ、一安心。


「元気だった!?っていうか、すっごい偶然ね!なんだか運命を感じちゃうわ!」


今度は身体を離し、至近距離で見つめてくる。


「あっ、今お昼中なんだね。私も一緒してもいい?」


「はっ、はい...」


まるで台風のようにしゃべり、パンを食べ始めた。


「ん~!やっぱここのパン屋さんが一番美味しい!」


パンを頬張り、私に笑いかける。そんな相田さんを見てると私まで笑っちゃう。


「相田さんのアトリエ、この近くなんですか?」


「うん。ちょっと今、煮詰まっちゃってて気分転換に早めのお昼に来たの。菜々子ちゃんは?」


「私は藤原係長に頼まれて、近くの会社に届け物を。それでそのまま休憩でここに...」


「そっか。剛の奴、一人前に菜々子ちゃんを使いやがったのね。まっ、そのおかげで今、こうして菜々子ちゃんとお昼食べていられるわけか」


「そうですね」


そろそろ12月。風は冷たくて、だけどその冷たさを太陽の日差しがカバーしてくれて。休日だったら、絶対眠くなってな。


「...菜々子ちゃん、なんか色々とごめんね」



さっきとは違い、真剣な面持ちで話す相田さん。



「えっ?」


「奈津美のこと。...あの子、勝手にいなくなったのよ。本当に。圭吾には勿論、私や剛にも誰にも言わずにね...」


「......」


返す言葉が見つからない。


「だけどね、いなくなってから私にだけ連絡があったの」


「えっ...」


「今、海外にいるからって。理由も全部聞いた。...その時の圭吾、本当に落ち込んでて見ているこっちが辛いくらいだったの。だけど、奈津美は圭吾には話さないでって。今、声を聞いたり会ったりしたら、決心がすぐにぐらついちゃうからって。私もね、すごく悩んだの。奈津美の親友として黙っておくべきか、圭吾の友達として話すべきか...。悩んで悩んで、結局逃げちゃったの。圭吾から...。最低でしょ?」


「そんなっ!...」







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