君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
私が翔ちゃんに言わせてしまったようなものだ。
だから、『なかったことにしてくれ』なんて言わせてしまった。


ゆっくり立ち上がり、自分の部屋へと向かう。そのままベッドへと倒れ込んだ。


なんで東野さんじゃないとダメなんだろう。
なんでこんなに好きなのかな...?


瞼を閉じると、いつものように闇の世界に入り込む。


入社式の時、なんて最悪な人なんだろうって思った。だって私がちょっと触れたくらいで大激怒で、拭いたハンカチなんて捨てちゃうし!女嫌いで完璧で...。
こんな人、私はごめんだわ!って思っていたのにー...。
エレベーターの故障で中に二人っきりで閉じ込められて。音楽の趣味が合って、それに気分が悪くなってしまった私を気遣ってくれたり、医務室まで運んでくれた。
そんな東野さんの意外な一面を知ってしまってから、毎日気になってしまって、つい目で追ってしまっていて。

そしていつの間にか好きになってた。


起き上がり、机の引き出しに閉まってある過去の手帳を取り出し見る。


「あった。見かけた日のハートマーク」

昔の思い出につい笑ってしまう。

あの時の私は受付嬢で、遠くから見てるだけで満足してて、挨拶を交わせた日なんて大ハッピーだった。

だけど段々と欲張りになっていって、少しでも彼に近付きたくて、認めてもらいたくて...。
仕事を頑張って頑張って...。

一緒に仕事を出来るようになってから、ますます好きになった。
相変わらず完璧なところも、意外に女々しいところも、一途なところも。
優しくて、私のことを分かろうとしてくれて。自分の弱いところも私に見せてくれて...。


「翔ちゃ...ごめんね」


私、こんなにも東野さんが好き。もう気持ちに迷いはないよ。理由なんて沢山ある。本当に大好きなんだ...。


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朝起きると、翔ちゃんの姿はなかった。置き手紙に朝ごはんを残して。


「なんだ~翔太の奴。珍しく早いんだな」


「そうだね...」


やっぱり避けられちゃってる、かな?

ううん!ダメダメ!私がこんなんでどうするのよ。普通にしてくれって翔ちゃんが言ってたじゃない。


「翔ちゃんも仕事大変なんだよ。さすがじゃない!忙しくても、ちゃんと私と桜子の朝御飯用意していってくれたんだから。さっ、早く食べて私達も会社行かなくちゃ!」


「おっ、おう...」


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