君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「桜子の言う通り。...俺、悪いけどそんな簡単に諦められる気持ちじゃないから。だからと言って菜々子に何かを求めるつもりはないよ。これからも、幼馴染みとしている。...だけど、気持ちだけは消せないから」


「翔ちゃん ...」


なんでなのかな?
翔ちゃんなら、他に素敵な人が沢山いるはずなのに、なんでよりにもよって私なのかな。


「さっ!このお話は終わりにしてさ、飯にしようぜ。腹ペコだよ。翔太はさっさと着替えてきて!菜々子は早く盛りつけしようぜ!」


「うっ、うん...」


ーーーーーーー

ーーーーー


「はぁ...」


お風呂上がり、自分の部屋に入るとつい出てしまった溜め息。



夕食は楽しかった。桜子と翔ちゃんと沢山話をしながら食べて。...良かったって思う。いつもみたいにみんなと過ごせて。


溜め息の原因は、違う。
お風呂に入ってる時からずっと頭の中を巡るのは、みんなの言葉。
...私はどうしたいんだろう。ニューヨークに行きたいの?行きたくないの?
東野さんの傍にいたいの?いなくていいの?
向こうに行って、やることあるの?仕事楽しいの?
...さっきから自問自答ばかり。


ふと、引き出しの奥にしまっておいた写真を取り出す。



「...結局、棄てられずにいるのよね」


東野さんに渡された写真。二人の思い出の写真を。


大貫さんは、東野さんのことを幸せにしてあげてって私に言った。
東野さんは、大貫さんとのことはもう過去だからって、そう言って私にこの写真を渡してくれた。


考えて、悩んで...。
やっぱり私は東野さんが好きで。受け入れて、これからもずっと東野さんと一緒にいたいって思った。


なのに、突然異動だなんて...。
しかも大貫さんと一緒に仕事をするなんて...。


「ちょっと神様ってば酷すぎるわよね」


東野さんは迷いなく行くって言うし。...みんなはそれぞれ違うことを言う。
だけど、最後にみんな言うように、決めるのは私ーー...。


私はー...。


もう一度手にしている写真を見る。


「私はやっぱりこんな風に、幸せそうに東野さんと笑って過ごしたいよ」


これからも、ずっとー...。
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