君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
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数日後。


「...本当にいいんだね?これで」


「はい。充分考えて決めたので」


「分かったよ。上には私から伝えておくよ。...東野部長にはどうする?」


「東野さんには...私からちゃんと伝えます。では、業務に戻りますので失礼します」


上司に一礼し、秘書課を後にする。


「はぁ、緊張した」


だけど、迷いも後悔もない。...あとは東野さんに伝えるだけ。


伝えるなら、早い方がいいよね?


「よし!」


そろそろ行かないと。営業部へ。


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「おはようございます」


「おはよう。今日なんだがー...」


「はい」


いつものように指示してもらい、スケジュール帳に書き込む。


「以上だ。何かあるか?」


「あっ、はい。えっとー...」


今日、休憩時間にちょっと時間取ってもらってもいいですか?なんて、言いづらいな。


「櫻田?」


いつものように、仕事終わってから東野さんの家で待っていればいいかな?
でも、先に人事部から東野さんの耳に入ったりしても困るし。


「すみません、なんでもありません。業務に戻ります」


やっぱり言えないわ。しかもみんなが仕事している中で。考えてみたら、東野さんと外回り以外に二人でランチなんてしたことないし。急に行って他の人に見られて、不審に思われても困るしね。


自分にそう言い聞かせ、デスクに戻りパソコンを起動させる。


「櫻田、これ。追加でよろしく」


「あっ、はい!」


それだけ言うと、一枚の紙をそっと机に置いていく東野さん。


なんだろ?


紙に目を通す。するとそこには。


《たまには、昼飯一緒に食べよう》



そう書かれていた。


東野さん...。


思わず東野さんを見つめてしまう。


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