君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
私の幸せ
「...うん、美味しい」


味見を終え、きれいにお弁当箱に詰める。


「冷ましてる間に、着替えちゃおうかな」

エプロンを外し、余ったおかずで用意した朝御飯をテーブルに並べる。


「あれ?菜々子もう起きたのか?...なんだ、これ」


「あっ、おはよう翔ちゃん!って、失礼な!立派な朝御飯じゃない!」


「マジで?菜々子が作ってくれたのか?」


「他に誰がいるのよ」


今日は日曜日。降水確率も0��3��ってさっき天気予報でやっていた。
良かった。デートの日が雨じゃなくて。


「あっ、そうか。今日はデートの日だったな」


「...うん」


最後のデートの日。忙しい中、休みを取ってくれた日。


「菜々子?どうした、ボーっとして。楽しいデートの日なんだろ?」


あれからの翔ちゃんは、本当に何もなかったように今まで通りだった。ニューヨークに行かないって伝えた時も、今もこうやって普通に聞いてきて、相談に乗ってくれている。
よくないんじゃないかなって思ったけど、桜子に『それじゃあ今まで通りじゃないだろ』って言われて、ズルズルきちゃってるけど...。
本当にこれでいいのかなんて、私には分からない。



「菜々子?」


だけど、これが翔ちゃんの望むことなら、私はそれに合わせるしかないわ。


「ううん!なんでもないよ。久し振りのデートだから、ちょっと緊張しちゃってるだけ」


「そうか?」


こんな風に翔ちゃんに心配されると、なぜか胸が締め付けられるように苦しくなる。


「これ、朝御飯よかったら桜子と食べて。じゃあ私は着替えたり準備してくるから」


「...あぁ」


少しだけぎこちないなって感じるのは、私だけかな?
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