君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
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「菜々子、重いだろ?荷物ちょうだい」


「えっ、平気ですよ。これくらい」


「いいから」


車を降りるとすぐ東野さんはそう言って、私の荷物を奪う。そして荷物を持つ反対の手で、私の手を握ってきた。



驚き東野さんを見つめる。


「今日はずっとこうだろ?」


「東野さん...」


「圭吾さん。いい加減名前で呼んでくれないか?今は仕事中じゃないんだから」


もう。どうしてそんなにも、胸が苦しくなる言葉ばかり言ってくるんだろう。


握られた手を握り返す。


「...圭吾さん、お弁当作ってきたから鞄重いですよ?」


「いいよ、重くても。...嬉しいから」


そう言ってまた笑いかけてくれた。


大好きな笑顔。大好きな声。大好きな人のぬくもり...。
忘れたくないな。この全てを。


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この日のデートは本当に楽しくて。東野さんはずっと笑ってて。私の作ったお弁当を美味しそうに食べてくれて。前みたいにサイクリングしたり、アトラクション乗ったり。

だけどそんな楽しい時間は止まってくれるはずもなく。
あっという間に過ぎていってしまった。


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「...やっぱり冬ですね。日が落ちるのが早い」


観覧車の中から見える景色は真っ暗。ポツポツとイルミネーションの灯りが見える。


「そうだな、もう今年も残りわずかだしな」


「...はい」


前と違って今日は向き合って座った。東野さんの顔がはっきり見える。


...楽しい時間はそろそろ終わってしまう。言わないといけないことがある。東野さんにーー。


気づかれないよう深呼吸をし、東野さんを見つめる。
東野さんは窓の外の景色を眺めていた。意を決して声を掛けようとした時、私の言葉は東野さんの言葉によって遮られてしまった。
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