君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「ごめん、な、さい...」


私、今日は決心してきたんだよ?悩んで悩んで...。
ずっと悩んで、やっと出た答えなの。


「凄く嬉しいです。...夢みたいです。ずっと憧れてました。片想いしてた時からずっと」


涙を拭うが止まらない。


「...ならどうして?...理由を聞かせて欲しい」


言わないと。ちゃんと目を見て。


「東野さんは、本当に私のことを好きでいてくれてますか?」


「...どういう意味だ?」


「私、東野さんが過去を棄ててくれって言ってくれて、もう過去だからって言葉を信じようと思いました。...大貫さんにも言われました。東野さんを幸せにして下さいって」


「えっ...奈津美が?」


「はい。戻る日の朝、会いに来てくれました。...東野さん、私ずっと違和感を感じていたんです。東野さんの言葉に。だけど、気づかないふりしてました。だって私、東野さんのこと凄く大好きで...。ずっと一緒にいたかったから」


「ならなんでっ...」


「異動になって、色々考えて..。分かっちゃったんです、私。...過去は棄てるものじゃないと思うんです。向き合って受け入れて、そして自然と消えていくものだと思うんです」


「だからって、もう関係ないだろ?俺と奈津美はもう終わったことなんだから」


「終わってないじゃないですか。...お二人はちゃんと終わらせてない。勝手に二人で自己完結してしまってるだけです」


鞄の中から持ってきた写真を東野さんに差し出す。


「これ...棄ててなかったのか」


「過去は他人に棄てられるものではないと思います。お二人とも昔みたいに笑い合えたら、その時初めて過去になると思います。私は大貫さんでも、東野さんでもないから、お二人の気持ちは分かりません。だけど、東野さんは自分の気持ちに蓋をしてないですか?...本当はまだ、過去に納得してないんじゃないですか?」


隠さないで欲しい。自分の正直な気持ちを。でないと、いつまで経っても本当の幸せなんて訪れないんだから。



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