君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
三ヶ月前に届いた招待状。
それは橘さんと藤原さんからだった。
橘さんとは退職してからもずっと連絡を取っていて、何度か会って遊んだりしていた。
付き合い始めた時から今まで色々聞いてきたから、二人が結婚するって聞いた時は本当に自分のことのように嬉しかった。


「友人代表でスピーチするんでしょ?」


「そうなんですよ~!今から緊張してます」


「ただ思ったことを言えばいいんじゃないの?友達も大好きな菜々子ちゃんからの御祝いの言葉なら、なんでも嬉しいはずだよ。ましてや偶然か狙ってか、菜々子ちゃんの誕生日の日に式を挙げるっていうんだから」


...そうなのよね。3月7日。この日は私の誕生日。


「まっ!楽しんで来なさいよ。久し振りに会う友達もいるんでしょ?」


「はい」



そう。久し振りに会う友達もいる。とても大切な...。


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ーーーー


「菜々子、明日よね?東京に行くのは」


「そう。今準備中」


月日はあっという間に流れ、いよいよ明日から三連休。


「翔太君や桜子ちゃんにも会うんでしょ?」


「うん!桜子の家に泊めてもらう予定なんだ。式場からも近いしね」


荷物をスーツケースに詰め込む。


「そっか。...楽しみね。会うのは一年ぶり?」


「...うん。そうかな?今年のお正月は二人ともこっちに帰ってこなかったしね」


二人とも元気かな?


「気を付けて行ってきなさいよ?あっ!ついでに結婚式でいい人見つけて連れて帰ってきなさいよ」


冗談だと分かっていても、ついお母さんの言葉に力が抜けてしまった。


「お母さんってば何を言ってるのよ。そんな簡単に見つかったら苦労はしませーん!」


それに、どんなにいい人が現れたって東野さんには勝てないよ...。


「...でも、ね、お母さん」


「んー ?」


「私、32歳になってもいい人が現れなかったら、ちょっと将来を真剣に考えてみるよ」


「えっ?...なんで32歳なの?」



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