君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「ごめんね、迎えに来てもらっちゃって」


「いいってことよ!早く行こうぜ」


「うん!」


桜子のあとを追っていく。


「桜子どう?一人暮らしは」


「もう三年になるからな。慣れたもんだぜ?ちゃんと自炊も続けてるし」


「えぇ~凄いじゃん!」


昔はあんなに家事や料理なんて、全くやらなかったのにな。


「菜々子は?実家暮らしはどうよ」


「私?毎晩のようにお父さんと晩酌してるよ」


「へぇ。昔の菜々子に今の菜々子を見せてやりてぇな。半端なく嫌ってたじゃん?父親のこと」


「....まぁ、ね」


昔は本当にお父さんが嫌いで、みんなに愚痴ってたりしてたしな。


「...変わるもんだな。色々と」


「うん...。そうだね」


変わるよ。何もかも。気持ちも身体も...。
ううん。変わらなくちゃいけないんだよ、きっと。


「あっ、翔太も今日は早く仕事を終わりにして来るってさ」


「そっかぁ~翔ちゃんも仕事忙しいっと言ってたもんね。でも楽しみだな、会うの」


桜子も翔ちゃんも大好きな友達だから。それは昔も今も変わらない。


「そうかぁ?私もしばらく翔太に会ってないけど、全然会いたいなんて思わねぇけどな」


「アハハ!それ聞いたら翔ちゃん怒りそう」


桜子らしい言葉。


どんなに時間が過ぎて、気持ちも身体も変わっちゃっても、友達だけは変わらないね。


ーーーーーーーー

ーーーーーー


「それじゃー...」


「「「かんぱーい!!」」」


グラスの音が響き渡り、3人とも一気にビールを流し込む。


「っくっはー!うめぇ!」


「美味しい!!」


「...桜子、いい加減にその言葉遣いどうにかしろよ」


呆れたように言う翔ちゃん。


「あぁ?うっせぇなぁ、翔太は相変わらず!うまい酒も不味くなるわ」


翔ちゃんに背を向けて、二杯目のビールを美味しそうに飲む桜子。


そんな何気ない当たり前だった光景に、つい笑ってしまった。


「...あれ?つーか菜々子、明日誕生日じゃね?」


急に思い出したかのように、そう呟く桜子。


「そうだよ~っていうか、今更?」


「バーカ。ほら、翔太!」


「分かってるよ」


...?


翔ちゃんがテーブルの下から取り出した物。きれいにラッピングされた小さな箱。


「えっ...これってー...?」


「ハッピーバースデイ、菜々子」


翔ちゃんから差し出されたプレゼント。

「翔太と一緒に選んだんだぜ?見てみろよ!」


「うん」
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