君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「あー...もう、しばらく泣いたりしてなかったのにな。翔ちゃんのせいだぞ」


涙を拭い、誤魔化すように翔ちゃんの胸元にパンチする。


「じゃあ今から言うことも、私のわがままです!!」


翔ちゃんを見つめる。


「翔ちゃんも絶対に幸せになって。...私ね、沢山いる友達の中で翔ちゃんには一番に幸せになってもらいたいの。...翔ちゃんが幸せだと、私も嬉しい気持ちになれるから。だから、絶対に幸せになって」


「菜々子...」


本当に幸せになって欲しい。毎日笑顔で暮らせるくらい幸せに...。


「まずはさ、翔ちゃんが幸せになってくれないと、私も幸せになれないし!...だから、私のためにも絶対に幸せになってね」


「...それは責任重大だな?俺に菜々子の幸せがかかってるんだからな」


「そうだよ!?」


お互い顔を見合わせ、つい笑ってしまった


...幸せになって。誰よりも。



「じゃあ、帰るな」


「うん」


「また」


「うん...。またね」


手を振り、翔ちゃんを見送る。そんな私に応えるように翔ちゃんも、何度も振り返っては手を振ってくれる。
別に永遠の別れじゃないのに、私は翔ちゃんの姿が見えなくなってからも、その場から動けずにいた。


「...バイバイ、翔ちゃん」


私も翔ちゃんにはもう頼らないよ。今日で最後。


私達はずっと幼馴染みで友達で...。
だけど、やっぱり男と女。一緒に住んでた時は気付かなかった。だけど、他人の目から見たら、やっぱり変な目で見られても仕方ない。疑われても仕方ない。
...なんて気付くのが遅すぎだったよね。


もうこんな風に3人でわいわい飲んだりも、なかなか出来ないんだろうな。
きっと家庭を持つってそういうことだと思うから 。


「幸せに、か..」


逆に聞きたいよ。翔ちゃんが言う幸せって何?
私の幸せは...何?


少なくとも、東野さんと一緒に過ごせていた時の私は幸せだったよ。
あの時が人生で一番幸せだった。私は、あの時の思い出があれば、それだけで幸せに生きていけるよ?なんて言ったら、翔ちゃんは怒るかな。




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