君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
嘘...。


「私...」


「そっ、そうっすよ!...今は違う秘書の方がいるけど、やっぱりみんな櫻田さんと比べちゃいます。...もう何人辞めたか分からないし」


「そうそう!剛のバカが厳しいの冷たいの、なんのって。打ち合わせに来るたびに秘書が変わってるのよ」


「だから、櫻田さん!いつでも戻って来ていいんですからね!櫻田さんなら大歓迎です!」


「小山君...」


「それかうちの事務所手伝ってくれても構わないわよ?菜々子ちゃんなら大歓迎!」


「相田さん...」


だめだな、本当に。最近の私は涙もろい。


「っもう!泣いちゃうところがますます可愛い!!」


そう言って相田さんが強く抱き締めるものだから、自然と笑ってしまった。


幸せと感じるのは、人それぞれ。他人が何て言おうと、私は胸を張って言える。今、とても幸せだって。


ーーーーーーー

ーーーーー


「アッハハハ!櫻田ナイスだったぞ!」


「なかなかいないよな。一度掴んだブーケを他人に取られるなんて」


「...ちょっと皆さん。人の不幸を笑うなんて失礼じゃありません?」


披露宴会場で大笑いしているのは、懐かしき営業部の皆様。


「そっ、そうですよ!さすがにあれは可哀想すぎてー...」


フォローするつもりだったんだろうけど、小山君...。
そんな思い出したかのように吹き出されたら、意味ないじゃない。


そう。フラワーシャワーのあとに行われたブーケトス。橘さんってば私に向かって投げてくれたはいいけど。
一度は頭上でキャッチしたのに、見事に私の手をすり抜け隣の人に取られてしまった。


「あ~あ。夢だったのにな。ブーケをキャッチするの」


「何?櫻田、まだ一回も取ったことないの?その歳になれば、結婚式には沢山出てるだろ?」


「余程幸せにはなれねぇんじゃねぇの?」


「...さっきから本当に皆さん失礼ですね。久し振りに会ったのに!」



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