君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
嫌味沢山込めて言ったというのに、みんなは益々笑うばかり。

「あ~やっぱ櫻田がいいな、俺」


「俺も俺も!」

「えっ...?」


「櫻田は凄かったよな。どんなにみんなで冷たくしても、懲りずにお茶出してきて」


「そうそう。三田社長殴るし!」


...懐かしいな。営業部に来たばかりの頃はみんな冷たくて、仕事も与えてもらえなくて。

「仕事も出来るし、ガッツあるし。...櫻田がいないと寂しいよ」


「あぁ。東野さんもいないしな。...あの頃が一番楽しかったな」


みんな...。

さっきまであんなに笑い合っていたのに、急にしんみりしちゃった。

私もみんなと同じだよ。東野さんがいて、みんなと一緒に仕事をしていた時は楽しかった。
幸せだった...。


「まっ、まぁ皆さん!今日は藤原部長のおめでたい日じゃないですか!パァッといきましょ!」


「あぁ、小山の言う通りだな!余興も頑張らねぇとな!」


「そうっすよ!」


小山君の一言でまたみんな笑顔になる。
...あの時のままだったら、きっとこの場所に東野さんもいたんだろうな。
なんて今更考えても仕方ないことだけどね。


「長らくお待たせ致しました。新郎新婦のご入場です」


司会者の声と共に会場の灯りが一気に消える。


「わっ!いよいよですね!」

「うん」


隣の小山君と拍手をしながら、つい興奮してしまう。


スポットライトが当たり、華やかな二人が入場。

いいな、いいな。本当に素敵!

私達のテーブルの横を通る時、橘さんがウインクしてきた。
興奮は強まり、より一層拍手をしてしまった。

それから式は順調に進み、乾杯後、カメラ片手に二人の元へと向かった。


「橘さん、藤原さんおめでとうございます」


「あら、さっきブーケを取り損ねた櫻田さんじゃない」

「さすが櫻田じゃん。亜希子と爆笑しちまったよ」


「あはは ...」


しばらくネタにされそうね。


「亜希子、張り切ってたんだぜ?絶対に櫻田に取ってもらうんだって」

「えっ?」


「ちょっ!剛さん!?」


慌てて立ち上がる橘さん。


「なんだよ、隠すことないだろ?...櫻田、亜希子は素直な奴じゃないけど、これからも仲良くしてやってな」


「藤原さん...」


「...っもう!剛さんは私の親じゃないでしょ?」

「ほら、こんな感じだ」


二人を見ていると、本当にお似合いだなって思う。きっとこの二人なら毎日笑い合って過ごしていけるんだろうな。





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