君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「櫻田さん、お見送りまでには箱の中身を開けて、感想聞かせてね」


笑顔でそう言うと、橘さんはドレスを掴みまた席へと戻っていく。


「うん...ありがとう!」


そう伝え、私も席へと戻るがテーブルには誰もおらず。


そっか。みんなで余興やるって言ってたものね。


椅子に座り、さっき橘さんからもらったプレゼントを見つめる。


「...さっきのどういう意味だったんだろう」


開けたら分かるかな?橘さんもさっき、帰りまでに開けてって言ってたし、開けてもいい、よね?

それに今は誰もいないし。


箱をドキドキしながらそっと開ける。


「...えっ、これって...」


一緒に添えられていたカードを手に取り、読む。


「嘘...」


本当なの?冗談じゃなくて?



橘さんを見ると、私の視線に気づいたのかウインクしてきた。


本当なんだ。...じゃあー...。


いてもたってもいられず、プレゼントを持ち、急いで会場を後にした。


箱の中身は、忘れたくても忘れられない物だった。


四年前のあの日、東野さんが私にくれた指輪のケース。


カードには『ハッピーバースディ。本物のプレゼントは教会に』


目を疑った。だって、こんなプレゼント信じられる?


でも、信じたい。こんなに近くにいて会えるなら信じたい...。
あんなに会うのが怖くて。忘れようとしていた人なのに...。
そんなこと忘れてしまうくらい、必死に走ってた。ただ、会いたくて...。

高鳴る胸を押さえ、急いで教会へと向かった


ーーーーーーー

ーーーーー

教会の前に辿り着き、上がってた息を落ち着かせる。
辺りはしんとしていて、異様に自分の胸の音が響く。


本当にいるのかな...?

ドキドキしながら、ゆっくりと教会の扉を開ける。
真っ先に飛び込んできたのは、眩しいくらいのたくさんの日の光。
眩しさに手で顔を隠しながら、ゆっくりと足を進め、目が慣れてきた時、私の視界に入った人。

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