君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~

「藤原と橘がきっかけをくれなかったら、きっと俺はいつまでも勇気が出せなかったと思う。...それに橘に言われたんだ」

えっ...橘さんが?


「面と向かって会うなり最低くそ野郎って言われたよ。...くそ野郎なんだから、嫌われたってぶつかれって。最後にアホって捨て台詞吐いてったよ」


そう言いながら東野さんは笑ってるみたいだった。


「橘には、感謝してもしきれないよ。こうやってまた菜々子に会わせてくれたんだから」


そっと私を離し、頬に触れる東野さんの温かな手。


「こんな俺だけど、結婚を前提に付き合って下さい」


嬉しすぎる言葉にまた涙が溢れてくる。


そんな彼への返事は決まっている。


「は...い」


涙を拭ってくれるけど、次々に溢れて止まらない。


「もう何があっても、離さないからな。絶対に」


「はい...!」



もう二度と離れたくないよ。絶対に。


涙が止まってきた時、ゆっくりと東野さんの顔が近づいてきて、そのスピードに合わせながら瞼を閉じる。


...誓いのキス。


ゆっくりと唇が離れると、東野さんは左手の薬指に指輪をはめてくれた。


「好きだよ、菜々子。..君が好きだ」


また抱き締められ、幸せで胸が苦しくなってしまった。


私も好き。...東野さんが大好き。
伝えたいのに、言葉が出ない。

会えない間、どんなに忘れようと思っていても、いつも東野さんのことばかり考えてて。

忘れたくても忘れられなくて。

必死に嫌なところを思い出して、嫌いになれたらいいのにって思っても、いつも最後には好きなところばかり浮かんじゃって。

...堪らなく大好きで。



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