君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
給湯室を出ると同時に自分に気合いを入れ、まずはいつものように、藤原係長へとお茶を運ぶ。


「お疲れ様です。どうぞ」

どうせ何も言わないか、『いらない』って素っ気ない一言なんだろうな。


そうは分かっていても、出さなくてはいけない。

聞くたびに凹んでしまうけど。


そんなことを考えていたが、意外な返事が返ってきた。


「…ありがと」


「はい、分かりました…って、えっ?」


いつもの言葉だと思い、すぐにお茶を下げてしまったが、聞き間違えじゃないかと藤原係長を、まじまじと見つめてしまった。


「なんだよ、喉が渇いたんだけど。飲んじゃいけないわけ?」


「いっ、いいえ!失礼しました。どうぞ」


うそー!!
あの藤原係長が私の淹れたお茶を飲んでいるなんて!

感動のあまり、お茶を飲む藤原係長を、ジッと見つめてしまっていた。


当たり前のようにそんな私の視線に気付く藤原係長。

そしてバツが悪そうに口を開く。


「あんたさ、意外に根性あんね。あれだけ東野にみんなの前でボロクソに言われたくせに、ちゃんとお茶出ししてさ。…ビックリした」


「藤原係長」


こっちがビックリだよ。
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