君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「そんなあんたを助けてやるよ」


小声で周りには聞こえないよう、そっと囁く。


「秘書課の同期に、橘っているだろ?」


げっ。なんで橘さん?


「えっ、えぇ。…いますけど」


「あいつならなんとかしてくれる」


「えっ…?橘さんが?」


ふと周りの視線に気付いた。

どうやらみんな私と藤原係長が話しているのが珍しいのか、手を止めて見つめていた。


「話は以上だ。…他の奴らも喉が渇いているだろう。早くうまいお茶を持っていってやってくれ」


「…!はっ、はい!」


うそー!あの藤原係長が『うまいお茶』って言ってくれたよ!


ビックリしたし、何より嬉しい。


藤原係長が言ってくれたおかげなのか、みんなお茶を受け取ってくれた。


たかがお茶汲みだけど、こんなにも相手に受け取ってもらえて、飲んでくれることが嬉しいことだなんて初めて知った。


それにしても―…


「なぜに橘 亜希子?」


出来れば一番関わりたくない人、ベスト3に入ってしまう強者なんだけどな。


てかまずはバカにされるだろう。

でも―…

あの藤原係長があんな風に言うんだから、本当に橘さんならなんとかしてくれるのかもしれない。
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