君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
なっ、なんだか物凄い無理難題じゃない?
触れないようにって…後ろに回された手をどうやって気を付けてみればいいのよ。
突っ込みどころ満載ね。


「あと一つ。いちばん重要なことだ」


「あっ…はい!」


なんだろう。


「向こうに着いたら、俺のそばを離れるな。俺がやむを得ず櫻田から離れなくてはいけなくなったら、言われた場所で大人しくまっていろ」


「なっ…!」


なんてっ!…なんて胸キュン言葉!


『俺の傍を離れるな』

さっきの東野さんのセリフが頭の中で、既に何回も何回もリピートされる。


「櫻田、聞いてるのか?」


運転中の東野さんには、今、私がどんなに酷い顔をしているかなんて分からない。

いつまでも返事を返さない私にイライラしている様子。

慌てて返事を返した。


「はい!すみません、聞いてます。分かりました」


「よろしくな」


『よろしくな』東野さんにとったら何気ない言葉かもしれない。

だけど、どうしよう。

今の私には一番嬉しい言葉、

東野さんと一緒に仕事をしていて、パートナーとして認めてもらえたかのような言葉に聞こえる。


そんな東野さんに、本当に認めてもらえるように今日は頑張らなくちゃ!
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