君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
そう言うと橘さんは意味ありげな笑みを浮かべ、東野さんへと視線を送る。


「櫻田さん。あなた東野さんのことが本当に好きなんでしょ?」


「…ブーッ!」


思わず口の中に入っていたものを吹き出してしまった。

「お客様、大丈夫でございますか?」


「あっ…すみません」


そんな私にいち早く気付いたウェイターさんが、素早くドレスを拭いて下さる。

…凄く申し訳ない。


「…そのドレス、けっこう高かったのよね。勿論ちゃんとクリーニングにかけてから返して下さる?」


「…はい」


「それにしても、櫻田さんがあんな女嫌いをね~」


「ちょっと橘さん。まだ私、東野さんが好きだなんて一言も言ってないわよ!」

「まだ?ってことはやっぱり好きなんじゃない!」


「う"っ…!」


墓穴を掘るとは、まさにこのこと。

うっかり自分でバラしてしまったようなものじゃない。

えぇい!こうなったらヤケよ!

さっきウェイターさんに貰ったワインを一気に飲み干す。そして橘さんに勢い良く伝えた。


「そうよ!私、東野さんが入社一年目から好きよ!ずっとずっと片思いだけど、何か文句でもある!?」
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