君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「ねぇちゃん~綺麗だなぁ。おい!俺の秘書にならねぇかぁ?」


うっ…!すっごいお酒臭い!


思わず鼻を塞ぎたくなるくらいの匂いがした。


「けっこうです」


こういう酔っ払いには、言葉少なめに拒否あるのみ!

「俺の秘書はいいぜぇ?なんたって俺は社長様だからな!いい思いさせてやるぜ~?」


しつこいなぁ~!


私は東野さんの秘書しかやるつもりはありません!


「本当にけっこうですから。失礼します」


『社長』という発言もあながち嘘ではなさそう。

現にこうやって絡まれている私を、周りは助けようとしない。


軽く会釈をしてトイレにでも逃げ込もうとしたその時、

「おい!俺の誘いを断ると、どうなるか分かってねぇのかよ」


「なっ…!」


オヤジは引き下がるどころか、私の腕を引き、肩に腕を回してくる始末。

より一層密着し、お酒の匂いに吐き気さえする。


「まぁ…ねぇちゃん、俺の好みだからな。今夜一晩付き合ってくれたらチャラにしてやるぞ?なんなら宝石でも買ってやろうか?」


……!!このオヤジ!

どこまで女をバカにするつもり!?


周囲はただ哀れみの眼差しを向けるだけ。
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