君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
誰も助けてくれない。
きっとこの会場の中でも、けっこうなお偉いさんなんだろう。
いち秘書の私が、どうなろうとみんなは知らないふりしてるだけ。
…東野さんも、もしかしたらこのオヤジにも頭が上がらないのかもしれない。
でも…
「汚い手を離して下さりません?」
「いてててっ」
肩に回されていた手を思いっきりつねる。
そして、オヤジが離れた隙に近くにいたウェイターさんから、ワインの入ったグラスを二つ貰い、勢いつけてオヤジの顔にかけてやった。
「酒臭いあなたには、お似合いでしょ?」
「てめぇっ!この俺にこんなことをして、どうなるか分かってんだろうな!」
その言葉に怒りがこみ上げ、睨み付けてくるオヤジの胸ぐらを掴み、努めて笑顔で言う。
「くそオヤジ。女をあんまりなめんなよ」
すぐに胸ぐらを離すと、オヤジはふらふらと力が抜けたかのように、地面に座り込む。
「失礼しました。私にはこんなくそがいるパーティーには不釣り合いだったようなので」
唖然としている周囲に軽く会釈をし、私は出口へと向かう。
あースッキリした!
…ちょっと後からが怖いけど、あんなくそオヤジにあのまま犯されるより、数百倍マシだわ!
パーティー会場を後にし、トイレに行ってから帰ろうとした時