君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「私もあの三田社長嫌いなのよ。…馴れ馴れしいったらありゃしないしね。まっ!みんな思ってるだろうけど、実際に実行出来るのはあなたくらいだと思うけどね」


「それは誉め言葉として受け取っても良いのかしら」


「あら。それはもちろんご想像にお任せするわ。まぁ…上の頭のお堅い方達から何かあると思うけどね」


うっ…!そうだった。会社に広まったってことは、つまり上の耳に入るのも時間の問題ってことなのよね。


落ち込んでいる私を見ているのが、余程嬉しいのか橘さんは笑顔でそっと私に顔を近付けてきた。
そして、耳元でそっと囁く。


「御愁傷様。せいぜい大好きな愛しの東野部長の秘書を解雇されないよう、いるかいないか分からない神様にでも願っていることね」



「……!!」


「じゃっ!お先に」


満足気な笑みを浮かべて橘さんは、颯爽と更衣室を出て行った。


そんな橘さんとは反比例して、私の表情は曇る一方…

「解雇…」


東野さんの秘書を解雇…


せっかく東野さんと、ほんのちょっぴりだけど打ち解けたと思ったのに…解雇なんてされたら、私…生きていけないわ。


あんな東野さんの笑顔を見せられて『さよなら』なんて考えられない。
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