君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「櫻田。一人芝居してるところ申し訳ないが、今すぐ副社長室へ行くぞ」


「えっ…」


あれ…?誰もいないはずの給湯室。

そしていまだに出張中のはずの東野さん。


そんな東野さんの声が聞こえてきたのは、私の気のせい?


頭を抱え、しゃがみこんでいた私。


「櫻田。早くしろ」


二度聞こえてきた声に、現実なんだと実感してきた私は、ゆっくりと立ち上がり後ろに振り返る。


「わぁっ!とっ、東野さん!」


やっぱり目の前にいるのは東野さんだった。


あれ?でもなんで?だって出張中のはずだよね?


「なんだ、その顔は。引き締めろ。これから副社長室に行くんだぞ」


「はっ、はい!」


そうだった!

それってつまり、怒られにってことよね…


すぐに歩き出した東野さんに続いて、私も慌てて後を追う。


その道中、浮かんでくるのは橘さんの言葉。


どうしよう…本当に東野さんの秘書を解雇されてしまったら。


直ぐ様来たエレベーターに乗り込み、最上階を目指す。

エレベーターは上がっていくのに、私のテンションはひたすら下がっていく一方。
そんな時、

「…櫻田。お前は営業部にいて楽しいのか?」
< 83 / 411 >

この作品をシェア

pagetop