君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「えっ…?」


突然投げ掛けられた問い掛け。


「だから今の仕事は楽しいのかって聞いているんだ」

…楽しい?


「…………」


分からない。


営業部の秘書としてってことよね?


答えられずにいると、エレベーターは目的の最上階に辿り着いた。


エレベーターを降りても、なかなか前に進もうとはしない東野さん。


「俺は出張中のはずだよな?」


「あっ…はい!」


「そんな俺が今ここにいるって意味、櫻田なら分かるよな?」


「……はい」


呼び出されたのよね。


出張よりも重要なことだから。


つまり私は会社にとってそれだけのことを、してしまったってことなのよね…。


「俺は営業部には女はいらないと思ってる」


以前立ち止まったまま、言葉を続ける東野さん。


その言葉が胸に突き刺さる。

「分かってると思うが、女を入れないのは俺の考えでだ。ただ規則だから櫻田がいるだけだ」


「…はい」


分かってはいた。


でも私、あの日の東野さんの笑顔を見てしまったから…今の言葉が悲しい。


「それに櫻田。お前はもっと他の仕事がしたいんじゃないのか?」


「えっ…?」
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