君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「以前からお前のことは知っていた。…以前のお前はもっと生き生きと仕事をしていた」


東野さん…


「苦痛なら辞めてもいい。規則ってだけで、別に俺は秘書を必要としていない。…仕事はこれだけじゃないんだ。毎日お茶汲みばかりで営業の知識もないだろ?櫻田の力を出せる環境は他にもあるしな。いい機会なんじゃないか?」


そう言うと東野さんはゆっくりと歩き出した。


東野さんの話に、衝撃を受けたのと同時に、違和感を覚えた。


確かに私、ここに来るまでは生き生きと仕事をしていた。

だけどそれは、いつか東野さんに認めてもらいたい。


いつか東野さんと肩を並べて一緒に仕事をしたいって思ってて、その目標のためにただ、ひたすら頑張ってきたから…。


今の私はその夢が叶ったばかり。


でも―…私、東野さんの言う通り営業の知識なんて何一つない。

ただ東野さんの秘書ってだけで、一人で舞い上がっちゃってて…。

秘書なんだからってお茶汲みばかりしてて…。


みんなが早く来て働いているのに、同じ時間に来ようともしなかった。


見て学んだり、自分で勉強したりしようともしなかった。
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