君が好き。～完璧で女嫌いなカレとの恋～
穴埋めって…。嘘。


ジッと東野さんを見つめていると、東野さんは困った表情を浮かべた。

そして副社長の何もかも見透かしたような笑顔に、観念したのか深いため息を漏らす。


「副社長には何もかもお見通しでしたか」


「当たり前だろ？俺を舐めてもらっちゃ困るよ。天下の副社長様をね」


勝った！と言わんばかりに豪快に笑い出した副社長。そしてまた席へと戻る。


えっ…なっ、なんなの！？勝手に２人で話が進んでいるようだけど、私には全く理解出来ていないんですけど。


「ではなぜ、わざわざ分かっていながら出張から呼び戻してまでこちらに呼んだのですか？」


「そんなの簡単さ。興味があったんだよ。女嫌いな東野君がさ、見込んでいる櫻田さんを」


「…えっ？」


いっ、今なんと！？


「それに２人のツーショットもね。……うんうん。なかなかお似合いじゃない？君達」


私と東野さんを交互に見つめ、満面の笑みでそう話す副社長。


「副社長…」


恥ずかしい気持ちでいっぱいの私とは違い、隣の東野さんは冷静な様子。


うぅ。分かってはいるけど悲しい。少しくらい動揺してくれないかしら。東野さんも。
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