君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「ん?なんだい、東野君」

「何か勘違いをされているようですが」


「えぇ~だってさ、俺が東野君に誰かご指名の秘書は?って聞いたら、櫻田さんって答えたじゃないか。冗談で聞いたのにビックリしたよ。まさか君の口から女性の名前を聞けるとは、夢にも思わなかったからね」


「うそ…」


本当に?


「あっ、本当だよ?東野君、即答だったよ」


「副社長!…とにかく。三田社長の件は申し訳ありませんでした。代わりにご存知の通り、出張先で契約を取ってきましたんで、損害はプラマイゼロです」


「あぁ。ご苦労さん!東野君さ、もういい歳なんだから伴侶見つけたら?近くにこんなに素敵な女性がいるじゃない」


「ふっ、副社長っ!」


さすがにそれ以上はやめて!
嬉しいを通り越して、恐れ多いです!!
さっきから副社長は何かにつけて、私と東野さんをくっつけようとしてる。

まぁ…正直嬉しいけど、東野さんはそんな気持ち、微塵もないに違いないんだから、煽られるだけ虚しさも増える。


「それでしたらご心配なく。私は誰とも結婚するつもりはございませんので。…櫻田、戻るぞ」


「えっ…あっ、はい!」


「失礼します」


先に歩き出した東野さんに続いて、副社長に挨拶をし私も慌てて後を追い掛けた。
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