2LDKの元!?カレ

そう考えると『二つの夜』の、どちらか一方を削ることが予算削減の一番シンプル方法なのだ。

さて、どちらを残すか。

私は隣にいる西野くんに相談することにした。一人で決まるのは簡単で、でも、ここまで一緒に頑張ってきた彼の意見も取り入れたいと思ったから。

「それで志保子さんはどちらを残すつもりでいるんですか?」
「私は、恋人との方を残したいと思ってるの」

12月号の企画ということで、クリスマスも意識した紙面づくりをしなければならないわけで。

イコール恋人と過ごす夜という図式が私の頭の中に出来上がっていた。

なのに、西野くんは首を捻る。

「オレは大切な誰かと……を残したいです」
「どうして?」

そうですね、そういって同意してくれるとばかり思っていたので、正直驚いてしまって。

「理由は?」
「理由……ですか?オレが思うに、お洒落をして最高のディナーを食べる相手が恋人だけとは限らないと思うんです。それに、オレはラルゴを恋愛要素満載の女性誌にだけはしたくないんです」
「根拠は?」

思わず問い詰めた。

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