2LDKの元!?カレ
ル・シエルへは両親や家族、気の置けない女友達と行きたいという意見も意外と多いことに驚いた。
アンケートは作り手の求める答えを導き出すように作られることも多く、私自身も、自分に都合よいデータばかりを目にしてきた。
そしてそこからはじかれた読者の貴重な意見は、こうして埋もれてしまうのが現状なのである。
創刊当初は、取りこぼさないようにと読者アンケートはもれなく目を通していたのに、忙しさにかまけてそれをしなくなった結果がこれだ。
西野くんは、それを思い出させてくれた。
それに、ラルゴの読者のなかには、恋愛に囚われない生き方をしている女性も多いようだ。なんにでも愛だの恋だのに絡めて考えてしまうのは、私の悪い癖だと反省した。
西野くんのラルゴを恋愛要素満載の女性誌にしたくないという意見も、まんざら外れではないわけだが。
しかしながら恋愛要素ゼロではやはり売れない、でもだからこそ陳腐な恋愛指南本にならない紙面づくりが必要なのだ。
それをラルゴに求めている。
なのに私は、何を見てきたのだろう。
「……ありがとう」
「どういたしまして」
「西野くんの案で、いこう」
これでラグジュアリーナイトの予算調整も上手くいくはずだ。
倉庫から出ると、廊下の窓からのぞく太陽がだいぶ傾いているのに気が付いて、私たちは急いで編集部へと戻った。