2LDKの元!?カレ

「旨そう」

そういいながら私の隣に座ると、缶ビールのプルタブをプシュッと持ち上げる。

「あ、志保子さんビールでよかったですか?」
「うん」

丁寧に注がれた琥珀色のそれを受け取る。

「では、カンパイしましょうか」
「カンパイ」

カチンとグラスを合わせた。

のどが渇いていたからだろうか、いつもよりうんとおいしく感じて一気に飲み干す。するとすぐに西野くんがビールを注ぎ足してくれる。

「ありがとう」

こぼれそうになった泡を啜ってからテーブルの上にグラスを置いた。

「さあ、食べよっか」
「はい、いただきます」

西野くんは手を合わせると、スプーンでオムライスを大きくすくって口に運ぶ。

「うん、旨い。ほんと旨いです」
「ホントに?ならよかった、たくさん食べてね」

パクパクとおいしそうに食べてくれる西野くんを見ていると自然と笑みがこぼれて。今度は何を作ってあげようかな――なんて、そんな気持ちになれた。


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