2LDKの元!?カレ
「ちょっと。何するの、西野くん」
「祐人です」
呼び間違いを、すぐさま訂正される。
「……祐人」
「だって、今日は休日でオレは志保子さんを独り占めしたいのに、志保子さんは仕事優先で。正直面白くないんです」
いい合いになりそうだ。そうわかっていても止められなかった。
「困らせないでよ。仕事だもん、仕方ないじゃない」
「困らせるつもりはありませんよ。オレだって志保子さん程じゃないけどやらなきゃならない仕事はありますし、大切だって思ってます。でも、二人でいる時くらいは、オレのことだけみて欲しいんです」
「……そんなこと」
「できませんよね。今の志保子さんには難しいと思います」
西野くんはそういうとおもむろに立ち上がった。
「祐人、どこ行くの?」
すがるような目で彼を見上げると、少し困ったような表情で頭をかいてからバスルームを指さす。
「風呂、入ってきます」
ひとり廊下に残された私は、閉じられたままのPCをカバンに押し込んで彼の後を追った。