2LDKの元!?カレ
話を終えた後、淹れなおしたコーヒーを飲みながら、夕食は外へ食べに行こうという話になった。
二人で外食するのは久しぶりで、最後がいつだったのか思い出せないくらいだ。夕食はいつもどちらかが作ったものを――といっても聡が作ることの方が圧倒的に多くて、それを二人別々に食べていたのだけれど。
「なあ。志保子は何か食べたいものはあるか?」
マンションのエントランスを出ると、聡がそう聞いてきた。
「うーん、そうだな。お蕎麦がいい」
「蕎麦か。志保子がそんなこというなんて珍しいな。オレに遠慮しなくても志保子の好きなものでいいんだぞ」
別に聡に気を使った訳ではなかった。ただ、ふと思い浮かんだから。
「そんなことないよ、食べたいと思ったからそういったの。ほら、ずいぶん前だけど聡と一緒に行ったことあるでしょ、わりと遅くまでやってるお店」
「ああ、あそこか。結構歩くけど、行ってみるか」
「うん」
目的地が決まると私たちは歩いて細い路地を抜け、大きな通りへ出た。