2LDKの元!?カレ
いつもは若い人で賑わっている駅前も、普段より人通りが少ない。
日曜日の夜だからだろうか。
多くの会社員は明日、仕事だ。もちろん、聡も私も。
「ねえ聡、明日は早いの?」
「いや、いつも通りだけど。志保子は?」
「私は月曜日だからいつもよりは早めに出るつもり。だから飲むのは少しだけにしよう。あそこ、出し巻きたまごが美味しかったんだよね。あと、蕎麦焼酎も」
「おいおい、志保子。肝心の蕎麦はたべないのか?」
「まさか、食べるよ。もう、当たり前じゃない」
拗ねたように頬を膨らませると、聡はそうかそうかといって私をなだめる。
「聡はまた私のこと子ども扱いして」
「そんなことないさ。ほら、おいで志保子」
背の高い聡を見上げて話しながら歩くのは久しぶりで、ついつい歩くのが遅れてしまう。西野くんはヒールを履いた私と同じ目線だから余計だ。
私の様子に気付いた聡は、何気なく歩調を合わせてくれる。
ありがとう。そう心の中でつぶやくと、彼の隣に駆け寄った。