2LDKの元!?カレ
「そんな。大げさだよ、聡は」
眉尻を下げ、力なく笑う。すると聡は首を横に振りながら、語彙を強めた。
「大げさなんかじゃない。診察してくれた医者は、極度の疲労が重なって倒れたんじゃないかって。なあ志保子、オレと暮らしてるときはそんなことなかったじゃないか。今、どんな生活をしているんだ」
「……どんなって」
私は思わず返答に詰まった。すると聡は私の手を取ると、両手でそっと包んだ。
「かわいそうに。オレなら志保子を、こんな目にあわせたりしない」
「聡、それはちがうの。こうなったのは私のせい。原因は私にあるんだよ」
すぐさま否定する私に、聡は困惑したような表情を浮かべた。
「それはどういう意味?」
「……マンションを出て別の人と暮らし始めて、自分がどれほどあなたに甘えていたか気付いた。そして、聡がしてくれていたことのありがたみが分かったの。私、やる気になれば何でもできると思ってた。でも、違ったみたい」
「だったらまた、オレと一緒に暮らせばいいじゃないか。戻ってこい、志保子」
どうしてこのタイミングで、そんなことをいうんだろう。私が心のどこかで、求め続けているその言葉を。